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舞台鑑賞と日常のおぼえがき


by unekocan

映画「オペラ座の怪人」

1月30日に、お台場のシネマメディアージュで「オペラ座の怪人」を見ました。
カテゴリーが「映画」ではなく「ミュージカル」なのは、この映画はやはりミュージカルの舞台あってもものと感じたからです。もちろん、舞台を観ていない人にも映画だけで楽しめるようにはなっていますし、劇団四季の「オペラ座の怪人」が7、8年ぶりにようやく始まったばかりで実際には舞台を知らずに見る人が多いのでしょうけれど。
よく、映画のDVDで未公開シーン入りとかのスペシャルエディションなんかがありますけれど、「オペラ座の怪人」は公開されている映画そのものが舞台に対するスペシャルエディションです。
例えば、オークション会場から19世紀のオペラ座に時間が移る時の有名なシャンデリアの演出は映画でもそのまま使われているのですが、、もし、舞台が無くて最初から映画を製作したのだったら、こういう風にはならなかったのではないかと思います。制約のある舞台だからこその演出だったものが、映画になるとこうなるのかと思うシーンが他にもありました。その点は「ライオンキング」とは正反対。「ライオンキング」も先に舞台を観ていたのですが、製作の順序は映画が先なので、DVDを見た時に「映画でこうだったものが舞台でこうなった」ということに感動しましたので。
そして、もし舞台を観て、席の関係とか、アップがないとか、ウエストエンドだったので英語がわからなかったとか、またもともともの脚本とか、演技とか、ともかくいろいろな理由で「謎」が残ったとしたら、そのほとんど全てにきれいに答えている内容だと思います。
クリスティーヌとラウルは結婚したのか。
マダム・ジリーと怪人には具体的にどんな関係があったのか。
そして、「怪人はどうなったのか」。
答えができてしまったので、逆にこれから舞台を観るときにどうしてもこれが下敷きになってしまうなあ、とも思います。

続きをこの下にも書きますが、自分で映画を見て確かめたい!とうい方はご注意を。




映画では舞台よりもマダム・ジリーが目立っていました。クリスティーヌのことを実の娘と思っている、と言っていますし、クリスティーヌがファントムの指導を受けていることを知っていることをクリスティーヌにもそれとなく示しています。
何よりも今まで黒尽くめの衣装でひっつめ髪「ハイジ」のフロイライン・ロッテンマイヤみたいな印象ではなくてすごく女っぽいんです。
マスカレードでは、胸の開いたドレスに上にキモノローブを羽織って、髪はなんと日本髪をアレンジしたアップ。といっても、日本の時代劇のかつら風ではありませんが。鬢髪は小さく張り出して後ろをくるくるまとめてかんざしを一本。19世紀末パリのジャポニズム、です。
そういえば、マダム・ジリーの少女時代の役者さんの顔はすごーくイギリス人っぽかった(笑)。この映画、舞台はパリなのですが、英語だし、製作がイギリスなので、「におい」がフランスではないです。

場面では一番楽しみにしていたのが「マスカレード」。衣装をモノトーンにしていたのはちょっと意外でした。もっと派手派手しく色の洪水みたいになるかと思っていました。でも十分豪華ですし、人形振りのようなダンスも格好いい。
それからまったく予想外に(というかそういうシーンがあることを忘れていた)良かったのが「ドン・ファン」の舞台で歌われる「ポイント・オブ・ノーリターン」のシーンです。炎が燃えているセットと、バックのフラメンコダンス、クリスティーヌとファントムの歌が「決められた歌詞」と本当の意味の間を行き来して、見ていてくらくらします。

事前のプロモーションを見たかぎりでは、ファントムが格好良すぎるように思っていました。しかし、最後の地下室のシーンで、仮面もかつらもなく、素顔も(もっとも見世物になるほどひどいとは私とくろうさには思えませんでしたが・・・)、その表情も、すべてをさらけ出している格好悪いファントムを見て、これまでの「格好よさ」が効いているのだ、と分かりました。
ラウルは・・・良いのですがあのスタイルは19世紀っぽくないような気はします。クリスティーヌの眉の形や頬の結局を強調したメイクなとは時代にあっていたので、余計に。

そして、改めて書くほどのこともないのですけれど、サー・アンドリュー・L・ウェーバーの音楽はすごいです。舞台と同じように、台詞がそのまま歌になっている部分がたくさんありましたが、映画でそれを見ても違和感は全くなくて、むしろ音楽の勢いに呑まれてしまいました。
by unekocan | 2005-01-31 11:33 | ミュージカル・芝居