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舞台鑑賞と日常のおぼえがき


by unekocan

「ロバと王女」@文化村ル・シネマ

どこかのお店でお昼ご飯を食べたときに、レジの近くにおいてあったチラシを貰いました。
1970年製作のデジタルリマスター版です。
来週22日で終わってしまうので、見てきました。
監督は「シェルブールの雨傘」のジャック・ドゥミ、音楽が「壁抜け男」のミシェル・ルグラン、主演はカトリーヌ・ドヌーヴ。
原作は、シャルル・ペローの童話「ロバの皮」。同じような話はグリム童話にもあります。
昔、金銀宝石を生むロバを持っている王様がいました。王様は美しいお后様はを大変愛していましたが、お后様は「私よりも美しい女性と再婚してください」と言い残して病気で死んでしまいます。王様はお后様より美しい女性に成長した王女様と結婚しようとします。困った王女様は・・・
というお話。





なんかですね、変な映画でした。
ロバを飼っている王様の国は「青の国」で、基本的に服の色は青、馬も青いし、衛兵や料理人の顔も青い。王女様を愛する王子様の国は「赤の国」でこちらも衣装、馬、一定の身分以下の宮廷人の顔も青。でも大臣とか、町や村の人の顔は普通だった。青の国のシーンで、料理人の何人かが小人だったりもして。いわゆる色彩映画ってカラフルすぎてグロテスクな感じがします。
雰囲気はアンデルセン物語」に似ている気がした。あれはハリウッド映画ですが、振付のローラン・プティとマダム・ドーロ役のジジ・ジャンメイルがフランス人であるためか、フランスっぽい感じもするんです。
「ロバと王女」はミュージカル映画とは言われていないみたいだけれど、劇中で歌うシーンがいくつかあります。「私は愛が好き」と翻訳されている歌詞の歌がテーマ曲をはじめ、ルグラン作曲の歌はなんとフレンチポップスなのです。中世のような衣装で歌うプレンチポップス・・・
昔話のビジュアル化を正当に行う気はなかったようで、王女の名付け親であるリラの精が電話を持っていたり、ラストシーンではヘリコプターで登場したりもします。
衣装とかお城の外壁とか、コスチュームプレイっぽく忠実に再現しているところと、サイケデリックなところが交じり合っている変な世界です。
このリラの精と王様、王女様の関係にちょっと含みが持たされています。
王女様が王様の求婚に困っているのは、彼女が父親への愛と恋愛の区別ができていないから、とうことになっているんですね。王様の強い愛に対して、自分も父を愛しているし、もうOKしてしまおうかしら、なんて言っています。どこか、ためらうものも感じてはいるのですが。それに対してリラの精は「父親と娘は結婚するものではないのよ」と、王様に無理難題を言うように王女に入れ知恵しますが、これは王女のため、というより彼女自身が王様に意地悪をして喜んでいるよう見えます。王様もリラの精のことはあまりよく思っていない様子。かつて王様とリラの精の間に恋愛感情があったのだろうな、と思わせます。
おもしろかったんですけれどね。
最後まで、なぜ、この題材を、こういう方法で映画にしたかったのかが不思議でした。
by unekocan | 2005-12-16 14:19 | 映画