舞台鑑賞と日常のおぼえがき


by unekocan

「くるみ割り人形」札幌舞踊会クリスマス公演 2005年12月4日(日)夜

日時 2005年12月4日(日)16時開演
場所 札幌厚生年金会館
席 19列24番

昨年は千田さん振付のクラシック版でしたが、今年は3年ぶりの坂本版です。写真でしか見たことがなくて、機会があれば舞台をとずっと思っていました。
それにしても、開場から30分以上もずっと行列になってしまうのはなぜなんだろう・・・
開演が15分くらい遅れました。
ホワイエにはクリスマスソングを演奏するベルと、クリスマスの飾りつけがあり、舞台の周りの壁と幕に星が写し出されていて、クリスマス気分です。開演5分前のベルも橇の鈴のような音でした。

<キャスト>
ゲストプリンシパル 梁 靖(リャン・ジン) 藤岡 綾子 
佐藤 崇有貴(TYバレエ主宰)
東 秀昭(スターダンサーズ・バレエ団)
正木 亮羽
奥山 真之介(清水純子バレエスタジオ)
村越 恒介(小野正子バレエスタジオ)

梅澤 由利子/深谷 優子/窪田 玲子/長谷川 馨/林 香織/
山本 佳奈/後藤 佳奈子/長原 綾子/倉岡 千穂/木村 唯子/
奥山 健恵/西野 隼人/横岡 諒  ほか札幌舞踊会

・・・クリスマスのプレゼント、何がほしい?



<1幕>
幕が上がる前から聞こえてきたちょっと声枯れした男性の声。幕が上がると舞台には巨大なスクリーンがあり、応援演説する小泉首相が。舞台上手でテレビを見ているクララは次々にチャンネルを変えます。プロレス、お料理番組、情報番組、そしてロックバンド「ナットクラッカー」のライブ。いつかクララは眠ってしまいます。
スクリーンがなくなるとステンドグラスのような飾りをはめ込んだ4本の白い円柱が現れます。基本的にセットはこの円柱の配置を買えることで場面転換をします。
また、クラシック版のコロンバイン、コロンビーナにあたるアメフト人形と3人のバービー人形が狂言回しや露払いをしていきます。

クララの両親は「パパ・ママ」ではなく「男女」の匂いが漂うカップル。兄のフリッツにも恋人(去年クララを踊った郷翠さん)ができて、クララは今子供と大人の間の中途半端な状態。二人のメイドは仕事をサボリがちで主人夫婦に眉をひそめられたり。
パーティーの雰囲気も、大人と子供が一緒に楽しむ場では一応あるのだけれど、大人だけの話やお酒を飲んでいる姿など、「ここからは子供はだめよ」という空気もあって、子供がちょっと理不尽に感じたりあるいは怖いなと思ったりする気分がよく出ていました。自分が子供の時にもお正月やキャンプで複数の家族が集まったときにそんな思いをした記憶があります。「女」な母というのは、昨年の"Real Fudge"のキャピレット夫人とつながるように思います。
ドロッセルマイヤーが持ち込んだアメフト人形(昨年はくるみの王子を踊った西野隼人さん)とバービー人形の踊りの後、子供達に用意された人形のプレゼント。クララは細身のくるみ割り人形を選びます。ところが、酔った客の一人がクララからくるみ割り人形を奪って頭をはずしてしまいます。学校の先生とドロッセルマイヤーが人形を直して首に包帯代わりのスカーフを巻いてくれますが、舞台下手では赤い髪の女性を中心に人形を奪った男も含めて怪しげな雰囲気が。
パーティーの後、くるみ割り人形を前に居間で眠ってしまったクララ。
暗がりの中でネズミ達が集まってきます。ねずみは子供ではなく、パーティー客だった大人で、おもちゃのトランペットなど楽器を手にしていてアクロバットで登場すると楽器の音を立てる(泣き声)、という演出でした。そして、赤い髪のねずみの女王が登場。アメフトとバービー達がクララとくるみ割り人形を守ろうとしますが劣勢です。ここで突然メイドたちが乱入したり、パーティー客だったロシア風の衣装を着た男女が応援に借り出されるのは「夢」の不条理さでしょうか。やがて人間サイズに大きくなったくるみ割り人形がねずみに立ち向かい、エレキギターの大きな音でねずみは退散します。
気がつけばクララは立ったひとり。ママ、パパ、お兄さん・・・みんなクララが近づこうとすると消えてしまいます。最後にドロッセルマイヤーだけは消えずにクララを抱きしめてくれました。ドロッセルマイヤーが連れてきたのは、くるみ割り人形だった王子でした。そして美しく成長した姿になったクララをくるみの王子はお礼にクララをお菓子の国に案内してくれます。人形達の先導で、雪の精たちが舞う道を通って・・・

<第2幕>
クララが目を覚ますと、パーティーは最大の出し物、大人たちのさまざまなダンスが始まったところでした。クララはフリッツ、フリッツの恋人と一緒に踊りを見物します。
<スペイン>
クララの両親も踊ります。1幕での衣装にオーバースカートや帽子、ヘッドドレスを付け加えてスパニッシュに見えるようにアレンジ。
<アラビア>
赤い髪の女性とその一派(笑)。男性の帽子は円筒形のスーフィーのような形です。
<中国>
衣装のイメージはクラシック版とだいたい同じ感じ。アクロバットがもう少しピシッと決まると良かったな。
<葦笛>
ちょっとおしゃれしてきたメイド二人と、ドロッセルマイヤーが連れてきたアメフト人形に似ている若者(二役ですが・・・)の踊り。
<トレパック>
男性3人、女性1人のロシア風の踊り。衣装が今年ナネット・レポーがテーマにしているロシアン・ジプシー風でかわいかったです。
<ボンボン>
ギゴーニュおばさんは登場しませんが、クララの友達の子供の踊りです。これがものすごく上手だった!エカルテ・ドゥバンのデヴェロッペを連続とか、二人ずつアントルラッセで交差、なんてよく子供に振付けるなあと思いますが、めちゃめちゃそろっているんですよ。

華やかで楽しい踊りはまるでお菓子の国にいるよう。でも、たった一つ、夢と違うのは素敵なくるみの王子がいないこと。ところが、ドロッセルマイヤーがくるみの王子を連れてきたのです。
<花のワルツ>
ドロッセルマイヤーと花の女王(学校の先生と二役)、くるみの王子とクララの踊りは全く同じ振りですが、クララ(ここではまだ子役)も本当に上手でした。リフトされたときに空中で姿勢をキープするのは筋力がかなり必要らしく、ここは男性のサポートがすごいんだなと思いましたけれど。クララの衣装は普通のワンピースでしたが、ここでクラシックチュチュに変わります。バービーたちも花の精になって登場し、フリッツと恋人も踊ります。クララは再び大人の姿になって(衣装はキャンディーの包み紙のようなピンクと白の縞、スカートはクラシックチュチュ)くるみの王子と踊ります。
この後で、いわゆる「金平糖の精の踊り」とグラン・パ・ド・ドゥなのですが、金平糖の精とコクリューシュ王子ではなく、クララとくるみの王子が踊りました。難しいなと思ったのは、お芝居が多いシーンではオリジナルの演出や振り付けが生えるのですが、グラン・パとなってしまうと、クラシック版と違うことの意味が感じ取りにくいことですね。
フィーナーレ、また子供の姿に戻っているクララはドロッセルマイヤーに抱かれて眠ってしまい・・・
目覚めると、最初にテレビを見ていた部屋に戻っていました。くるみ割り人形もありません。テレビでは「ナットクラッカー」のくるみ割り人形の扮装をしたミュージシャンが演奏しています。ドロッセルマイヤーにクララはお願いします。「あの人のところへ!」。彼がマントを一振りすると・・・
クララはテレビ画面の中でくるみ割り人形と一緒に歌っていました。

ポップな曲で踊り、クラッカーが飛び交うエンディングも楽しかったです。たたんだ幕に溜まっていたクラッカーのキラキラが、幕が下りたときにパーッと落ちてきたものきれいでした。
舞台って、魔法になるんですね。
作る意味、見る意味、感動する、ということは眉間にしわ寄せて頭を抱えるようなことばかりじゃなくていい。きれいで、不思議で、幸せな時間を舞台を作った人たちと見る人たちで感じられて、東京から行って本当によかったと思いました。

3年前とは少しずついろいろなところが違っていたようです。
最初の小泉首相は、厚生年金会館がなくなる(営業不振のため、改革の一環で)ことに絡めたみたいですが、さりげなくてユーモアが感じられてプロパガンダっぽくはなかったです。
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by unekocan | 2005-12-06 10:15 | ダンス